スクーリングメモ — 環境デザイン-II-3-平面表現

Tatsuo Nomura
Aug 23, 2021

--

事前課題の模型

今回は8.21–8.23の二日間のZoomを使った遠隔スクーリングでした。もともと通学の予定だったのですが、コロナの拡大により、遠隔に変更されました。平面表現II-2のように既存の建物の図面の書き写しとは違い、今回は条件に合わせて自分でプランを提案して製図する授業でした。テーマは「大人2人が住むコートハウス」でした。いろいろと「施主」の要望があり、与えられた敷地内に9m×18mでそれを叶えるような提案をするのが課題です。

以下に制作で気づいたことをまとめます。

事前課題

事前課題は以下の3つです

  1. コンセプトの提案
  2. 平面図、断面図におこした上で模型を作る
  3. 設計案と類似した事例を取り上げて紹介する

最初は全くコンセプトが思い浮かばず、とにかくインターネットで「コートハウス」を調べて色々と事例を探しました。そして、自分が一番気に入ったのは、部屋の中と外が有機的につながってるようなものだとわかりました。

ぼやっとコンセプトが浮かんだところで、方眼紙にとにかく色々と配置して書いてみました。書いてるうちになんとなく方向性が見えてきたのですが、自分には全然もののサイズ感がなく、部屋が大きいのか小さいのかイメージがわかないので、こちらのツールhttps://myhome-cloud.net/を使って、とりあえず書いたものを配置をしてみました。

あとで教員の方からは「大学に来たのは間取りという考えから脱却するためなので、間取りツールはおすすめしません」と言われました。便利なツールですが、たしかに思考を縛られてしまうので、良くないかもしれません。ただ個人的にはサイズ感がまだ全然わからない状態ではどうにもならないので、こういったツールで助けてもらうのはまだ必要そうです。

これをもとに手書きで起こした図面が次のものです。書いてるうちにやっぱりこうしようとか、ああしようとか色々考えが変わったりして、最終的には上のラフとは少し違う図面になりました。

事前課題の図面

この図面をもとに、制作した模型が次のものです。模型を制作し始めて、リビングが北に向いてることに気が付きました。しかし、引き返すには時既に遅しで、あきらめてそのまま進めました。

以下の設計コンセプトをつけて、事前課題はこれで提出しました。

設計コンセプト

本設計では「コートLDK」のコンセプトで提案します。施主は温暖な地方に二人だ けで住まわれてる40代のご夫婦で、平日は共働きで仕事をしております。お二人が とくに週末にゆったり過ごせる設計を考えました。この設計の特徴は以下の3点で す。

1. 全部屋の前に広がるコート 本設計ではコートを囲むように北側にベッドルーム、お風呂などのプライベー トスペース、南側にリビングルームを配置し、間をつなぐように横長のキッチ ンを配置しました。すべての部屋とコートの間には大きな引違い窓が設置され ており、どの部屋にいてもコートが目の前に広がります。すべての窓を開放す ることで、コートがLDKの一部になり、家の「中」と「外」の境界線がかき 消されます。

2. コートを見ながら料理できるキッチン アイランドキッチンの前面は引き違い窓でコートに面しており、コートを眺め ながら料理をつくることができます。天気の良い日には作った料理を運び出 し、庭の備え付けのテーブルで木に囲まれながら食事を楽しむことができま す。模型の写真には料理をしている旦那様と、庭で手を振っている奥様の様子 が表現されています。

3. ゆったり庭を眺めながら入れるお風呂 寝室の隣には二人でもゆったり入れる1000mmx2000mm大きめのお風呂を 設置しました。お風呂とコートは引き違い窓で仕切られており、これを開ける ことで露天風呂気分を味わうことができます。リビングとお風呂の間は植木で 視線が遮られており、コートを眺めながら日常生活の乱雑から抜け出し、森の 中にいるような気分でゆっくりお風呂に浸かることができます。

3.の「似たコンセプトの建築例を紹介する」課題は建築家・彦根明氏と造園家・荻野寿也氏がデザインを手がけたコートハウス「SGY」https://korekara-maps.jp/1537/ を紹介しました。

スクーリング

初めての遠隔授業だったので、うまくいくかなと心配はありましたが、問題なくすすめることができました。以下が自分なりの学びです

  • コンセプトを大事にすること。講師の方が繰り返し言われていたのですが、「このコンセプトはなんですか?」「この部分はコンセプトとあいます・あいません」と一にも二にもコンセプトを大事にするよう繰り返されていました。僕のコンセプトの「コートLDK」について、それをもっともっと追求するように言われました。例えばコートの中にキッチンがもう一つあるとか、中と外の関係を反転させるとか、それくらい考えるとよいとアドバイスをもらいました
  • いろいろ盛り込みすぎない。コンセプトを一つ決めたらそれを大事にして、あれもこれもと盛り込まない。幕の内弁当にしない。今回はコートハウスがテーマなので、特にそれに絡むことを優先して、余計なものは省く。例えば壁面の窓は今回のテーマにそぐわないので、基本無いほうがいいと講師の方が何回か言われていました。
  • どんなものでも意味をもたせること。「なんとなく置いてみた」ようなものはやらない。窓一つとってもどうしてそれを採用するのかしっかりそれがコンセプトやプランニングにどう意味を与えるのかを考えること。
  • 具体的に住んでる人の像を自分の中で持って、その人達がどんな生活をするかをしっかり考えること。
  • エスキースは程々に。二日間の時間はすごくゆとりがあるわけでもありません。ある程度のところで案を決めて、制作に取り掛からなければいけません。終わらなければいくら素晴らしい案でもゼロ点です。とにかく決断をすることです。
  • 評価ポイントは以下の3つだと言われました。1.製図の美しさ 2.プランニング (建築として採光、通風、導線などがしっかりしてる)3.コンセプト・オリジナリティ。製図の授業なので、図がきれいじゃなければだめだということでした。

講師の方にアドバイスをいろいろ貰いながら、最終的に完成したのが次の図面です。

このプランの売りは2つあります

  1. リビングダイニングと一体化した庭。庭をLDKの一部として扱うのがコンセプトですので、それを目指しました。引違い窓を開放すると、リビングの床がデッキまで拡張されます。デッキには掘りごたつのようなテーブルが備え付けてあり、そこで庭を見ながら食事を楽しむことができます。
  2. 露天風呂。庭の植栽で区切られた右側のプライベートスペースに大きな露天風呂を設置しています。家にいながらにして、リゾートのような気分を味わうことができます。

とまぁ、こんなようなプランを提案しました。実際に住んだらきっと収納が足りないだろうなとか、これだけスペースが有るのに1LDKはもったいないなぁとか、冬は寒そうだなとか、掘りごたつは水が溜まりそうだなとか、露天風呂は年に2回しか使わなそうだなとか……。いろいろ思うところがあるものの、架空のデザインとしては面白いものができたかなと思います。今回も学びの多いスクーリングでした。

以上

--

--